リーダーシップを切り替えていく柔軟性が求められる

  ここでわかるのは、部下たちの能力や習熟状態に合わせて自分自身のリーダーシップ・スタイルを柔軟に切り替えていくことが大切であり、それができるリーダーが組織を成功に導くということである。

 集団の成熟度が低いときは、明確な方向づけや指示を中心とした、いわゆる強い目標達成機能(P機能:本連載の前回記事を参照)を発揮することが求められる。目標達成に向けて、自分なりのビジョンを強烈に打ち出し、多少強引であってもグイグイ引っ張っていくリーダーシップ・スタイルである。そうでないと集団としての推進力が生まれてこない。

 モチベーションを上げるには、部下に任せることが大事だと言われるが、まだ成熟度の低い段階で任せてしまうと、モチベーションが空回りしたり、不安が高まったりすることの方が多くなりがちである。そんな段階で自主性を重んじ、指示を出すことを躊躇(ちゅうちょ)していたら、個々のメンバーの役割も仕事の進め方もあいまいとなり、集団としてうまく機能しないだろう。

 ただし、そこでうまく機能したからといって、そのリーダーシップ・スタイルをずっと続けていると、また行き詰まるだろう。日頃の業務が、ある程度軌道に乗ってきたら、リーダーによる縛りを少し緩めて、適度に権限をメンバーに委譲していく必要がある。それにより、個々のメンバーに責任、自覚と自主性を促すことで、力が付いてきたメンバーのモチベーションを高めるのだ。

 よって、リーダーシップの切り替えの見極めが大事となる。そのためにも、部下たちの仕事ぶりをしっかり観察し、評価する姿勢が求められる。

 仕事に慣れてくれば、それぞれが自分なりの視点に立って動きたくなるものである。その能力と自主性を活用しない手はない。それなのに、いつまでも指示的なリーダーシップ・スタイルを続けていたら、集団としてのモチベーションは大きく低下してしまう。

 過去の成功体験を引きずってはならないとしばしば言われるが、それはリーダーシップ・スタイルにも言えることである。かつてうまく機能していたスタイルがいつまでも有効とは限らない。いつまでも「教示的リーダーシップ・スタイル」がうまく機能するとしたら、組織として全く成熟していないということだ。
 
 こうしたことを踏まえて、リーダーとしては、そのリーダーシップ・スタイルを柔軟に切り替えていくことを意識にとどめておくべきだろう。