ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
コンテンツ業界キャッチアップ

現在の売上本数は前作の8分の1程度
「ドラクエX」のオンライン化は失敗だったのか?

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第34回】 2012年9月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
6
nextpage

 ドラクエXはプレイヤー間のコミュニケーションを円滑にするため、簡単な操作で出せる定型文と仕草が多数用意されている。その中に「ダイス!」という言葉とともに乱数で数字が出てくる仕組みがある。

 その仕組みとRMT(リアルマネートレード:ゲーム内通貨を現実のお金に換えること)を組み合わせると現実の賭博ができるため、スク・エニは賭博開張罪に問われるのでは、という話が8月29日発行の日本経済新聞で報道され、翌日スク・エニの株価が下落したというのが、一連の騒動の顛末である。

 この下落劇の背景には、消費者庁のソーシャルゲームに対する規制報道直後、ナイアガラの滝のように株価が急落した悪夢が影響していることは言うまでもない。その後スク・エニは公式声明を発表、騒ぎは沈静化した。

筆者のキャラクター。魔法使いエルフ。レベル42。

 しかし、私が実際のプレイ中に一番賑わっているグレン城下町の街の入り口辺りで観察した限り、報道の前後でも「ギャンブルやらないか」のかけ声を聞いたのはほんの数回。また、その誘いに応じているシーンを見かけた事もなかった。

 ログインしていた時間帯のせいで見かけないのかもと考えたが、多くの人で賑わう夜だけでなく、だまされる可能性が高い子どもが多い平日の昼間にも、休みを使ってログインしてみたが、いずれの時間帯にも殆ど見かける事はなかった。実際に可能性があるかどうかは別として、ゲーム内通貨を賭けて遊ぶこと自体は存在しても、回数はそれほど多くないのではないか。

1000ゴールドを売っても儲けは68円…
誰が68円のために法を犯してまで賭博をする?

 また、ダイスで賭けられているゲーム内通貨は数千ゴールドだそうが、数千ゴールドを稼いだところで、RMTによって得られる実際のお金はごくわずかだ。

previous page
6
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

コンテンツ業界キャッチアップ

ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

「コンテンツ業界キャッチアップ」

⇒バックナンバー一覧