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現在の売上本数は前作の8分の1程度
「ドラクエX」のオンライン化は失敗だったのか?

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第34回】 2012年9月20日
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 右のグラフは、あるRMTサイトでの1000ゴールドのRMT価格の推移である。「販売価格」が1000ゴールドを買いたい人に売ってくれる金額、「買取価格」がそのRMTサイトに1000ゴールドを売ったときに買い取ってくれる金額。「スプレッド」というのはその両者の価格差。データはスプレッドの棒がある日だけ筆者が採取している。

 確かに、サービス開始こそは700円と高かった。しかし、プレイを進めることでゴールドがそれなりに手に入るようになったためか、日を追う毎に販売価格は低下していった。そして、ダイス騒動があった8月末頃の買取価格は86円から91円、9月16日には68円まで下がっている。68円を稼ぐために費やした時間を考えると、どこかでアルバイトでもした方がずっと儲かるのではないか。そう考えると、ダイス機能を賭博目的で提供したとして、スク・エニを賭博開張罪に問うのは早計と思われる。

 ダイス賭博騒動はドラクエXの1ファンとしても、非常に残念な話だった。だが、ドラクエXのゲーム運営はしっかりしており、大きな問題になることはないように思える。 今後、家庭用ソフトビジネスはオンラインビジネス化が加速していくと言われるが、そのためにもドラクエXが小学生でも安心して遊べる健全な運営を行うよい成功例として範を垂れてほしい。

 

【追記】 本稿の最終チェック段階で、スクウェア・エニックスからRMT行為に対する取り組みへに対しての発表があった。人気タイトルである限り,RMTを完全になくすことはほぼ不可能で、運営側はずっと「いたちごっこ」を行い続けることになる。今回の発表は、ドラクエXの運営がRMT業者に対して毅然とした態度を取ることで、ユーザー・RMT業者の双方に対して「ドラクエXはRMT業者の自由にさせない」という強いメッセージを発信したものと言える。
 

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小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

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