生活保護の対象にならない
外国人たちの苦境

 川久保さんが「喫緊の課題」と考えているのは、外国人留学生や外国人労働者の今後である。とはいえ現在のところ、国籍や在留資格を条件としていない住居確保給付金や社協の貸付などが、外国人たちの生活をギリギリのところで支えている。今年度、反貧困みやぎネットワークは約70名の外国人に対して、住居確保給付金の申請と利用を支援した。

 外国人労働力や留学生の受け入れを推進する政府方針のもと、日本にやってきた外国人たちは、コロナ禍で失業したり、アルバイトの機会を失ったりした。休業補償が支払われていなかったり、違法解雇の可能性が高かったりするケースも多い。川久保さんは「せめて会社がきちんと法律を守っていれば、すぐに困窮に陥ることはなかったはずです」という。出身国の状況が不安定だったり、家族が貧困だったりすると、家族の経済的支援を頼ることは難しい。帰国したくても、出身国がロックダウン中で入国できなかったり、フライトが中止されていたりする。

「生活費がないという方や、家賃や学費を払えないという方が、本当に多いです。私どものところに相談に来られた段階で、多くの方は所持金が5000円以下になっています。住居確保給付金や社協の貸付の利用を支援したり、食糧の緊急支援を行ったりしています」(川久保さん)

 さらに、「一律10万円」の特別定額給付金もあった。しかし、住居確保給付金には「最長9ヵ月」という制約がある。社協の貸付は、後日返済する必要がある。いずれ、現在の辛うじてのやりくりも不可能になる可能性は高い。冬に突入すれば、暖房費も必要になる。

「近いうちに住居確保給付金の期限切れで生活保護が必要になりそうな方々は、少なからずおられます」(川久保さん)

 問題は、外国人への生活保護適用に関する高いハードルだ。厚生労働省が認めている「定住者」「永住者」などの条件に該当しない場合でも、行政が裁量によって適用することはできる。しかし、「この裁量権を積極的に行使しよう」という姿勢の自治体は多くない。申請に踏み切ろうとしている外国人の当事者は、まだいないということだ。

「外国人が生活保護を使いにくいことは、非常に重大だと思っています。『国に帰れ』といっても、不可能なんですから」(川久保さん)