地銀が地方にこだわる限り
活路が開けるビジネスモデルはない

 では、地銀の立場に立つなら、今後のビジネスをどうしたらいいのだろうか。

(1)地方経済の退潮、(2)もうけにくい金融環境、(3)競争の激化、(4)技術進歩による銀行業務の置き換え、はそれぞれ当面継続しそうな「長期的逆風」だ。場合によっては、(5)コロナに伴う不良債権の発生や次のバブル崩壊などが、「短期的ショック」として加わって、「経営統合による生き残り」の策を講じても間に合わなくなる可能性もある。

 思うに、地銀は、地方にこだわる限り、生き残りと成長の活路を見いだすことができないのではないだろうか。

 もちろん、個人・法人いずれに関しても地元の顧客を自ら捨てる必要はさらさらない。しかし、地元にこだわる限り、顧客は趨勢として減るのであり、メガバンクや他の地銀、インターネット銀行・証券、新興の金融系テクノロジー企業などとの競争が激化するのだ。

 ただし、技術の進歩による競争範囲の変化は、地銀が一方的に「攻め込まれる側」になることだけを必然とするものではない。ネット銀行やネット証券を見て明らかなように、金融サービスがインターネットその他を通じてデジタル化・オンライン化される場合、地域を越えて顧客を求めることもできるし、ビジネスを広げることもできるはずだ。

 そこで一考の価値があるのが、静岡県の地銀であるスルガ銀行だ。無理な住宅ローンやカードローンの展開などはビジネスの「質」が悪かったし、行員の管理にも問題があって、今のところ失敗例と言わざるを得ない。ただ、ネットを通じて全国的にビジネスを展開しようとした取り組みなどは検討に値するのではないだろうか。「顧客本位でかつ善良なスルガ銀行」というものが存在した場合に、どのようなビジネスを展開したかを考えてみるといい。

 各行の経営基盤が弱っているのだから、地銀の経営統合は今後進むだろう。しかし、単純に統合しただけでは、せいぜい重複する支店や部門の削減と人員削減によるコストダウンくらいのメリットしかない。また、自分たちでノウハウを持たずにネット金融などにぶら下がる形で連携しても、金融商品等の「売り子」を務めるだけに終わってしまうだろう。しばらくは食っていけるかもしれないが、自行の顧客を差し出して尻すぼみになってしまう将来が見える。