三井本館,ロケ地,東京中央銀行Photo:PIXTA

TBSのドラマ「半沢直樹」が好調だ。もちろん現実には半沢のような銀行員はいないし、あのような下克上が許される組織でもない。だが、「もしも半沢が銀行にいたら」と考えることは、将来の銀行の在り方を考える上で、さまざまなヒントを与えてくれる。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

期待以上に面白く
楽しめるドラマ

 TBSのドラマ「半沢直樹」(日曜日放送・午後9時~)のシーズン2が好調だ。少なくとも筆者には、期待以上に面白い。

 テンポの良いストーリー展開と、良い意味で実写の漫画のような分かりやすさが大いに楽しめる。何よりも、俳優さんたちの演技が素晴らしい。

 特に、大和田取締役を演じる香川照之さんが前作で作った、あたかも歌舞伎の悪役のような「型」が、今回のシーズン2の悪役たちにも引き継がれていることが素晴らしい。

 これまで、歌舞伎出身の役者さんがテレビ・ドラマに出ると(NHKの大河ドラマが典型的だ)、表情が大げさで、怒鳴るか、泣くか、ツバを飛ばすか、馬鹿笑いするかといった、舞台では映えるかもしれないが、テレビの大映しでは見るのがつらい、「普通の人間はこうではないよ」と言いたくなる演技が多かった。

 しかし、香川さんは、あえて「型」だと分かる形で役を演じることでリアルな人間の嫌みをなくしつつ、視聴者が感情移入できる、新しいスタイルの表現を作った。筆者は、毎回感心しながらドラマを見ている。