テスト前なのに勉強もせずゴロゴロして、スマートフォンをいじっている子どもを見ると、ついイライラしてしまうものです。そして、つい言ってしまいます。
「勉強しなさい!!」
しかし、子どもは親に勉強しなさいと言われるほど、勉強したくなくなる生き物です。「うるさいなあ」と言いながらも机に向かってくれればいいほう。「今やろうと思っていたのに!」と怒りだし、かえって勉強が手につかなくなり、フテ寝してしまう子もいるでしょう。
そんなご家庭に紹介したいのが、『朝15分学習法』です。やり方は、とっても簡単。子どもが朝起きたらすぐに食卓に座らせて、たった15分、学習させるだけ。
用意するのは、消しゴム2個と鉛筆2本でOKです。
これだけで、子どもに学習する習慣がつき、小学校、中学校、高校、大学にあがっても、自ら勉強する子どもに育ちます。親御さんの望む、子どもの学習習慣が手に入れられるのです!
本連載では、延べ6万5000人以上の子どもたちを指導してきた著者が、0歳から大学生までの学習実例をもとに、正しい学習姿勢のポイントをはじめ、お風呂での学習法や、塗り絵を学習に生かすコツなど、子どもの年齢に合わせた学習法を紹介していきます。

集中して学習に臨める子の共通点とは?Photo: Adobe Stock

集中して学習に臨める子は、腰椎を立てて椅子に座る

 毎日の朝学習によるレミニセンス効果は、学校の授業になかなかついていけない子どもにおいても強力な効果を発揮します。

●学校の授業についていけなかった、一人っ子の小学1年生・小虎(ことら)さんの場合

 小虎さんは小学校に入ったばかりの5月、学校の授業についていけなくなり、心配したお父さんとお母さんに教室に連れてこられました。

 その時点では、小さい数の足し算はできますが、50以上の数は読めませんでした。文字を読むことが負担のようで、国語の問題は「わからない」と見ることすら嫌がりました。英語に至っては、聞いた単語をそのままリピートして言うことができない。つまり「今聞いたことすら覚えられない」ということ。通知表ならば「1」をつけられてもおかしくない状態でした。

 小虎さんがご両親と一緒に初めて教室に来たとき、椅子にちゃんと座ることができませんでした。学習するときは、腰椎を立てて座らないと学習姿勢が取れません。しかし小虎さんは、背もたれにべったりともたれ、そのうちズルズルと椅子から滑り落ちていきました。「まずは椅子に座る練習から始める必要があるな…」と私は思いました。

 学習習慣がつき、集中して学習に臨める子は、腰椎を立てて椅子に座ります。両足は肩幅ほどに開き、しっかり足の裏を床につけて、左手でプリントを押さえて学習します。つまり姿勢よく椅子に座ることは、学習を行ううえでの大前提なのです。

 そこで小虎さんには、あえて背もたれのない椅子を用意し、腰椎を常に意識させるようにしました。しかしなかなか姿勢が定着せず、テスト中に消しゴムで遊んだり、靴を脱いだり履いたり、椅子から滑り落ちたりと、テストに向き合うこと自体が難しい状態。国語のテストでは長文問題は読むこともせず、初めからパスしてしまうことも。それでも根気よく姿勢を指導し、学習に向き合わせる日々が長らく続きました。

 教室に通うようになって15ヵ月たった小2の夏、小虎さんは急な成長を見せました。まず、腰椎を立てて椅子に上手に座れるようになったのです。また、国語において問題文を読むことなく「わからない、教えて」と言うことが減り、徐々に問題に真剣に取り組むように。ようやく学年相当の学習レベルに追いつきました。

 そして、23ヵ月がたった小3の4月。2年生のまとめテストを受けてもらったところ、国語の偏差値は31から47に、算数は37から50にアップしたのです。

 テストへの向き合い方も大きく変化。算数では、自分で解いて出た答えが選択肢にないときは、もう一度解いて正解にたどりつくことができるようになりました。国語も、長文を飛ばすことなく最後まで読めるように。教室での学習中も、無駄口をたたいたり周囲の友だちに話しかけたりすることがなくなり、集中して取り組めるようになりました。

 小虎さんの場合、少し時間はかかりましたが、我々だけでなくご両親も根気よく学習に取り組んでくれました。学習に向き合おうとしない我が子を毎朝起こし、朝学習を習慣化させたことで、ここまで学力が伸びたのです。小虎さんは、もはや学習を嫌がることはありません。学校の宿題は楽勝でこなしてしまうそうです。