分譲戸建賃貸物件にずっと住み続けるなら、分譲戸建を買った方がいい(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 日本のファミリー世帯の持家率は76%に及ぶ。4分の3以上の子どもが持ち家に住んでいるのが実態だ。持ち家を持とうと思ったきっかけも、「子どもや家族のため」が7割を占める。出産したら家を買うというのが、人生ゲームの定番の方程式といえる。

 しかし、住宅市場はアベノミクス以降激変し、物件の選び方も変わっている。エリアごとの買いやすさも違いが大きいので、基礎知識を付けて購入に臨みたいものだ。

持ち家市場の激変
分譲戸建は「買える価格」か

 アベノミクス以降、7年間で分譲マンション価格は5割ほど値上がりした。この価格高騰の波に乗り遅れた場合、共働きの高年収夫婦(パワーカップル)でない限り、購入環境は厳しくなった。

 マンション以外の選択肢は戸建になるが、オーダーメイドの注文は分譲よりも1000万円高くなる(リクルートマイホーム購入者アンケート調べ)。そのため、現在のファミリー世帯のエントリー商品は分譲戸建になっている。この価格はアベノミクス以降、ほぼ横ばいで推移しており、リーズナブルな価格水準に留まっている。

 分譲戸建の全国の平均価格は2700万円になる。これを35年の住宅ローンにすると、月の返済額は6.4万円になる。持ち家以外のファミリー世帯の平均年収は540万円なので、価格は年収のちょうど5倍になる。年収に対する返済額の比率は14%ほどで、無理せず返せる水準にある。

 もし、この返済額と同等の家賃を払っているなら、家を買った方がいいことになる。なぜなら、この支払いを35年続けた結果は、賃貸ならその後も死ぬまで支払いが続くが、持ち家なら返済完了と同時に支払いがなくなるからだ。こうして、賃貸と持ち家では約1.5倍の住居費の差が出る。とにかく、早めに買って定年までに返済を終えてしまった方が、老後の暮らしは明らかに楽になる。