対日批判には温度差がある。この広い中国では、政府と国民、ネットの世界とリアルな世界、都市部と内陸部、職業や受けてきた教育によっても反応はそれぞれだ。都市部の住民となればなおのこと、「愛国」だけでは国民を束ねることができなくなってきていることがわかる。

激怒する中国
事態は収束するのか

 だからと言って、中国を甘く見てはいけない。9月18日をピークに事態は収束に向かうのではないかという楽観論もあるが、今回ばかりは長期化が避けられそうもない。それほどまでに中国は激怒している。

 上海市民の間には「国有化反対と何度もそれをアナウンスした中国に、話し合いというカードを切れなかった日本は、外交のスマートさに欠ける」という見方もあれば、「まずは相手が殴ってくるのを確認してから一気に駒を進めるのが中国のやり方。国有化に踏み切った日本は中国に付け入らせるいい口実を与えたに過ぎない」という見方もある。

 しかもこの時期、日本は国政で精一杯だった。日本の政権与党である民主党が代表選でドタバタする隙をつく格好で(2010年9月の尖閣での漁船衝突事件もそうだった)、中国が一気に展開をリードする形になってしまった。

 日本と同様に、上海でもテレビをつければ連日「魚釣島」関連の報道だ。テレビ出演する専門家らは日本制裁の戦略を語り、中国に有利な「歴史的証拠」を開陳し、大陸棚の延長を主張、対日制裁は日に日にエスカレートする。

 その報道はいまだかつてない激しさを帯びている。中国は今回の国有化を日本の政治の右傾化と軍国主義の台頭と関連付けて、いまこそ積年の恨みを晴らさんとばかりに国民を焚きつけているかのようだ。