中国国内の反日デモは抑え込みの方向に向かったが、尖閣諸島周辺海域ではいまだ中国の海洋監視船・漁業監視船が活動を続けており、緊張は去っていない。中国は今後どう出てくるのか。米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(Center for Strategic International Studies,CSIS)の上級研究員で、中国の外交・安全保障を専門とするボニー・グレイザー氏に聞いた。(聞き手/ジャーナリスト 大野和基)
大国意識が増大
引き下がらない中国
米政府の外交・安全保障政策に大きな影響力を持つシンクタンク、戦略国際問題研究所の上級研究員で、中国の外交・安全保障が専門。米国政府機関へのコンサルティング経験も多数。
――最近、米国議会の公聴会で証言されていましたね。
中国と南シナ海について公聴会があり、そこで証言しました。9月12日のことです。
――日中関係は今ひどい状態になっていますが、尖閣諸島のことで中国は激しく日本に抗議をしています。
ずっとフォローしています。中国の外務省のステートメントも読みました。中国の外務副大臣は、あるシンクタンクで尖閣諸島問題についてスピーチをしました。非常に詳細に語り、とても興味深かったです。彼は、日本政府が石原都知事と共謀したと、日本政府を痛烈に非難しました。尖閣諸島を購入し国有化するための口実を探したと言うのです。
中国は実際、かなりタフな立場を取っています。これはある意味で、中国は強い国であるという認識があるからです。国家間のパワーバランスにおいて、中国の方が日本よりも地位が上であるというのが、現在の中国の立場です。中国は、日本を中国よりも弱い国と考えています。
1週間ほど前、中国の一流シンクタンクの専門家と話しました。蒋介石が権力の座についていた第二次世界大戦後、中国は非常に弱かった。だから尖閣諸島について、当時の現状を受け入れざるを得なかった、しかし今は違っており、我々は強い。主権国家と権利のために立ち上がらなければならない、と彼は言っていました。