チェサピーク・エナジーのシェールガス掘削現場2018年以来、北米の石油・ガス開発は大半が水圧破砕法を利用している。写真は米ワイオミング州にあるチェサピーク・エナジーのシェールガス掘削現場 Photo:Jenna VonHofe for The Wall Street Journal

 次期米副大統領候補のマイク・ペンス氏とカマラ・ハリス氏は7日夜の討論会でフラッキング(水圧破砕法を使ったシェールガス・石油の開発)について論争を展開し、過去10年間続いてきた議論をさらに拡大させた。

 フラッキングは、気候変動問題を巡る広範な議論の中心的要素であり、石油・ガス業界と環境保護運動家たちの間で継続して対立の元となってきた。フラッキングについて、知っておくべき事柄を以下で解説する。

フラッキングとは何か?

 フラッキングとは、泥質岩の一種である頁岩(けつがん、英語でシェール)の層から石油・天然ガスを抽出する技術だ。ある種のフラッキングは過去数十年にわたって利用されてきたが、現在ではフラッキングという言葉は主に、「水平掘削型の水圧破砕法」と呼ばれる特殊な技術のことを指している。

 この手法では、シェール層に到達するまで数千フィート(数百メートル~数キロ)も地中をドリルで掘り下げた後、ドリル先端のドリルビットの方向を水平に変え、さらに横方向に数千フィートも掘り進む。こうして、上下の厚さがわずか数フィートしかない層の中に含まれる石油・ガスを探し出す。

 次いで生産技術者たちは、砂と少量のさまざまな化学物質を含んだ水を、高速でシェール層に注入する。その衝撃で岩石が割れ、その細かい亀裂に砂粒が張り付いて隙間を維持する。すると、石油・ガスが、割れ目を通って地上に流れ出る。