皆さんに、社会変化に対応するための”当事者意識”を持っていただけたのだと思う。

実証から実用化を目指す、自動走行。地域の小学生による社会化見学の様子実証から実用化を目指す、自動走行。地域の小学生による社会化見学の様子 Photo by K.M.

 11カ月間の試走を経て、同地区の住民1224人のうち、近助タクシーの事前登録者は242人。平均利用者数は1日約10人。利用者はお年寄りが主体で、志比北小学校の生徒も利用している。当初は時間を決めた定期便だったが、2020年4月後半から定期便は朝夕として、日中は利用30分前までに電話予約する完全オンデマンド制に移行した。

 試走期間の利用は無料だったが、実用化に際して大人が1回300円、11枚綴り3000円の回数券と4000円の定期券を採用した。

 実用化を迎えたいま、当事者として感じる“気付き”がいくつかある。

 順にご紹介したい。

その1:
単なる公共交通のダウンサイジングではない

 一般的に、地域交通を改善する上で、「路線バスへの助成」から「コミュニティバス導入」、その先に自家用有償旅客運送を考慮する自治体が多い。いわば、事業のダウンサイジングだ。

 ただし、自家用有償旅客運送は、地域住民が能動的に動かなければ成立しないため、路線バスとコミュニティバスとは、公共性という面での解釈が全く違う。

 こうした意識が、永平寺町を含めて自治体側にまだまだ弱いという印象がある。

予約が入ると、カーナビ上に情報が出る仕組み予約が入ると、カーナビ上に情報が出る仕組み Photo by K.M.

その2:
地域交通の総ざらいは極めて難しい

 言うは易く行うは難しい…。

 国土交通省は、多様な交通を効率的に活用するMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の議論の中で、自治体に対して「地域交通を総ざらい」した交通政策の作成を推奨し、法整備も進めてきた。

 そうした中で、元来は福祉目的または交通空白地域に限定した特例という立て付けだった自家用有償旅客運送に対する考え方に柔軟性を持たせた。