「大衆化」の流れを追うと、AI化の本質が見えてくる理由
AIは社会にどんなインパクトをもたらすのでしょうか Photo:PIXTA

解剖学者・養老孟司氏は、一次産業が中心だった社会から、「社会システム」の構築が中心となる社会へと変化してきたと指摘する。そうしたシステムを重視する社会において、AIはどのようなインパクトをもたらすのだろうか。『AIの壁 人間の知性を問いなおす』から一部抜粋して、養老氏と経済学者の井上智洋氏との対談をお届けする。

一次産業の急速な衰退

養老孟司 私は、AIを特別に取り上げるつもりはないんです。昔から言ってきましたから。「意識中心の社会」に移ってきていると。

 今、世界の人口の8割は都会に住んでいる。それで一番目立つのは、一次産業の急速な衰退です。一次産業は、直接ものと対面している仕事ですよね。それを技術が補助することによって、日本だと、例えば10家族でやる仕事を1家族で担えるようになった。そうすると、残りの9家族は何をしたらいいか?という話になる。これはある意味、当然の変化であって、僕が生きている間にそうした変化がずっと切れ目なく起きてきたわけです。

 実は1940年頃まで、わが国の一次産業従事者の割合は労働人口の4割以上でした。今は、労働人口の4%程度でしょ?10分の1以下なんですよ。

井上智洋 ドラスティックな変化ですよね。