新型コロナウイルス感染拡大の影響でマンモグラム(乳房専用レントゲン)などの検診件数が減少し、がんの見落としや診断の遅れが生じていることが、保険請求やがん診療機関の記録などで明らかになった。こうしたパターンの増加にがん専門医は警戒感を強めている。新型コロナ感染への懸念から今春、米医療機関の多くが診療を停止したことで、何十万件というがん検診が延期された。がんの多くは急速に進行する可能性があることから、発見されないまま何カ月も過ぎれば治療の選択肢が減り、死に至るケースが増えるなど一段と悪い結果を招きかねない。「死亡率の上昇につながらないはずはない」と米国立がん研究所(NCI)のノーマン・E・シャープレス氏は語る。影響は10年余りにわたって続く可能性が高いという。NCIが今年示した予測によると、未受診の例も含め、新型コロナによる治療への影響は乳がんと結腸がんだけでも向こう10年間の死者数を1万人押し上げる恐れがある。シャープレス氏はこうした推計について、今では低い数字に思えると述べた。
新型コロナが招くがんのリスク、診断遅れで命取りに
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