ビジネスパーソンの
セカンドキャリアとしての地方議員

 鈴木議員は、IT業界のビジネスマンだった。キャリアのスタートは日本マイクロソフトで、IT市場開発部の部長になった。その後、30代後半で別のIT企業に転職し、世間的にも名の知られた会社の経営陣の一角を務めたが、会社が倒産した。管財人の弁護士から経営再建のための役員に指名され、再建の実務に関わった辛い経験を持っている。

 日本マイクロソフトの働き方改革推進チームと沢渡あまね氏が著した『職場の科学』(文藝春秋)などを見ると分かるが、同社は、自由度が高く働きやすいが、「ベストのパフォーマンス」と「成長」を常に求めるプレッシャーとやりがいのある職場だ。同社から転職する人は珍しくないが、その後の境遇と将来を思ったときに鈴木氏は、人生がこのままの延長線上でいいのかと「もやもやした感情」を抱える。

 このもやもや感に対する書籍での記述も詳しいのだが、おそらく中年以上のビジネスパーソンの9割以上には説明しなくても分かる感覚だろう。

 そこで鈴木氏が目指したのが地方議員だった。地方議員は、いいセカンドキャリアだろうか。鈴木議員は「いい」と言う。

 いい理由を集約すると、「やりがいがあって、定年がないから」だ。収入は普通のビジネスマンとそう変わらない(自治体によって異なるが、例えば年収700万円から1000万円)が、政治活動に使える歳費もあるし、何といっても定年がないのはいい。現実に、高齢になっても働ける職場だ。また、営業や管理、ITのスキルなど、ビジネスパーソンのスキルは地方議員の仕事に有効に活用できるという。

 しかし、地方議員になるためにはまず新人として選挙を勝ち抜かねばならないし、議員の地位を維持するためにも選挙をくぐり抜けなければならない。どうやってそれを実現するかが問題だ。本題はここからであり、「マーケティング」として捉えた選挙戦略の具体論がスタートする。