ベトナムの二大都市における交通インフラの整備は、地政学的に重要な問題ではないように思えるかもしれない。だがホーチミンとハノイの地下では近年、アジアにおける影響力を巡る争いが繰り広げられている。この2都市の地下鉄システムは――いずれも長年の遅れが発生しているが――日本企業と中国企業がそれぞれ建設を進めている。日中の影響力を巡る競争が、多額の貯蓄と海外への投資意欲を持つ両国の実態と重なる様子を象徴するものだ。菅義偉首相は今週、就任後初の外遊でベトナムとインドネシアを訪問。日本政府にとってこうした投資に基づく影響力のつながりがいかに重要かが浮き彫りとなった。日中の力関係は不均衡に見えるかもしれないが、日本の銀行は世界最大の国際的な貸し手であり、外交政策を支える国際活動の促進という点では強みを持つ。
日中が競う「アジア投融資外交」
菅首相の東南アジア歴訪が示すもの
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