「これらを使いこなせれば、MBAで学習する課題の8割以上に対応できる」
そう謳うのが、書籍『グロービスMBAキーワード フレームワークBEST100』(ダイヤモンド社)だ。この本は、国内で圧倒的なシェアを占める日本No.1のビジネススクールであるグロービスが、授業やコンサルティングの現場で定番となっている「有名フレームワークTop100」を厳選し、使いやすさを重視して図解したビジネス書である。
ビジネスの定石であり先人の貴重な知恵であるフレームワークを使いこなせれば、それだけでビジネスパーソンの生産性は何倍にも上がるという。
この記事では、そんな同書から一部を抜粋・編集し、あらゆるビジネスパーソンにとって強力な武器となるフレームワークの重要性について紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・上村晃大)

「圧倒的に説得力がある人」が実践している伝え方の極意・ベスト1Photo: Adobe Stock

なぜ、あなたの提案はいつも通らないのか?

 ビジネスの現場で新しい施策や企画を提案するとき、こんな説明をしていませんか。

「この施策をやるべきです」
「なぜなら、これだけのメリットがあるからです」

 一見、論理的に聞こえますが、これだけでは人は動きません。「何をやるか(What)」と「なぜやるか(Why)」だけを語っても、聞き手に「で、具体的にどう進めるの?」という不安が残ってしまいます。これでは相手を完全に納得させることはできないのです。

圧倒的に仕事ができる人が使う「コンプリートメッセージ」

 一方、圧倒的に説得力がある人は、提案の際に「あるフレームワーク」を無意識、あるいは意識的に使ってコミュニケーションをとっています

『グロービスMBAキーワード フレームワークBEST100』では、相手を完全に納得させるための強力なツールとして、次のように解説されています。

 コンプリートメッセージは、前項(第6回参照)で説明したピラミッド構造をさらに拡大し、図表1右の「Howのピラミッド構造」を追加したものです。「何をすべきか」「その理由は何か」「具体的にはどうするのか」をすべて盛り込んで説明したものと言えるでしょう。
「圧倒的に説得力がある人」が実践している伝え方の極意・ベスト1図表1 コンプリートメッセージ
 コンサルタントが新施策を提言する際は、基本的にプレゼンテーションにこれらの要素が盛り込まれます。
 よく「5W1Hが大事」とも言われますが、Who(誰が)、When(いつ[までに])、Where(どこで)の3つはHowに含まれると考えていいでしょう。コンプリートメッセージは、この5W1Hをすべて盛り込んでいるのです
――『グロービスMBAキーワード フレームワークBEST100』40-41ページ

 このように、「What(何をすべきか)」「Why(その理由は何か)」に加えて、「How(具体的にはどうするのか)」までをすべて盛り込んだ状態を作ること。これが「コンプリートメッセージ」です。

「How」まで語り切って初めて人は動く

 提案を通すのがうまい人は、必ずこの「How」のピラミッド構造までを緻密に設計し、相手に提示しています。

誰がやるのか」「いつまでにやるのか」「どこでやるのか」といった具体的な道筋(How)が示されて初めて、聞き手は「これなら実現できそうだ」と安心し、行動に移すことができるのです。

『グロービスMBAキーワード フレームワークBEST100』では、具体例として、仕事を抱え込みがちのマネジャーであるBさんに、もっと部下へアサインメントをうまくできるように伝えるにはどうしたらいいかというケースを挙げています。

 さまざまな伝え方があるでしょうが、Aさんが伝えた内容を図表2に示しました。このケースでは、「Howのピラミッド構造」の大きな枠組みは「時間配分の変更(具体的にはプレーヤーとしての時間配分の上限設定)」「能力開発(具体的にはロールモデルの活用)」「部下とのコミュニケーション内容の変更(具体的にはやりがいやスキル向上実感を重視)」です。
「圧倒的に説得力がある人」が実践している伝え方の極意・ベスト1図表2 Bさんの能力開発
 Bさんに即座に聞いてもらえそうなのが今回挙げた3つだったと考えてください。必要に応じて、能力開発はさらにブレークダウンして「ロールモデルの活用」「体系的なマネジメントスキルの学習」としてもいいでしょう。
――『グロービスMBAキーワード フレームワークBEST100』42ページ

 ここまで伝えることができれば、Bさんも納得感が高いのではないでしょうか。

「What」と「Why」で相手の理性に訴えかけ、「How」で実行の不安を取り除く。 この「コンプリートメッセージ」の構造を意識して、日々のコミュニケーションやプレゼンテーションの説得力を劇的に高めていきましょう。

(本稿は、『フレームワークBEST100』の内容をもとに構成したオリジナル記事です)