「はあ、なんでしょう」と、私。

「俺の、俺の小説を、あんな殺人者の記事の横に掲載しやがって」……。

 確かに週刊誌ですから、殺人事件の記事は掲載します。ましてや、隣に何を掲載するかはページ編成上仕方のないことなのですが、石原先生の怒りはおさまりません。そのあと社長のところにまで電話して、「あんな編集長クビにしろ!」と怒鳴ったそうです。

 社長は笑って「気にしなくていいよ」と言ってくれましたが、よく考えてみると、石原先生は記事掲載の前に、南米のガラパゴス諸島へ旅行。帰宅後、週刊文春を読んで小さな扱いに思わず怒って、電話が来たということのようです。実際は、殺人事件の記事の横に掲載したからと怒っていたのではありません。

 翌日、田園調布のご自宅に謝罪に行くと、最初は奥様を通じて玄関越しに「もういいよ」。それでも粘ってご自宅に入ると、応接間のはじっこに、小さくなって座っている石原さんがいました。

「ごめん、ついカッとなってしまった。ただこれからは、もっと連絡くれよな。大きな記事になると、こっちが勝手に期待していただけだから……」

 こういうところが憎めません。で、その後またまた原稿をいただいて、叱られてしまうのですが……。

どこまでもマイペース
憎めない石原慎太郎の魅力

 石原先生はコワモテのようで、かわいいところがたくさんあります。ある小説誌の女性編集長に小説を書きたいと電話したそうです。結局、掲載されなかったようですが、「電話に出た編集長が『私はあなたのことが嫌いです。だから絶対掲載しません』と金切り声で叫ぶんだよ」と笑いながら話します。「そういう奴、結構俺は好きなんだ」と。