何歳までこの会社で働くのか? 退職金はどうもらうのか? 定年後も会社員として働くか、独立して働くか? 年金を何歳から受け取るか? 住まいはどうするのか? 定年が見えてくるに従い、自分で決断しないといけないことが増えてきます。会社も役所も通り一遍のことは教えてくれても、“あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする裏ワザを紹介したシニアマネーコンサルタント・税理士の板倉京先生の話題の著書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」から、一部を抜粋して紹介します。本書の裏ワザを実行するのとしないのとでは、総額1000万円以上も「手取り」が変わってくることも!

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一生涯にかかる医療費のうち6割は65歳以上でかかる

 2020年に発表された日本人の平均寿命は、男性81・41歳、女性は87・45歳。医療の進化などにより、平均寿命は延びています。ちなみに、1960年の平均寿命は、男性が65・32歳、女性が70・19歳。約60年前と比べて男女ともに「老後」が15年以上延びているということです。

 一方で「健康寿命」(日常生活が健康上制限されることなく送れる期間)は、意外に短く、男性が72・14歳、女性は74・79歳といわれています(2016年厚生労働省調べ)。

 つまり、あなたが今60歳であれば、今と同じように元気で動ける平均的な期間は、男性は12年、女性は15年弱しかないのです。そして、健康寿命から寿命までの間、男性で約10年間、女性で約13年間は、医療や介護のお世話になる平均的な期間といえます。

 もちろんずっと元気でいられるに越したことはありませんが、この「現実」をちゃんと頭に入れ、その間の医療や介護費の負担にもしっかり備えておかなければならないということです。

 厚生労働省の推計では、1人の人に一生涯でかかる医療費は、2700万円。そのうちの6割が65歳以降にかかるといわれています。とはいえ、今の健康保険制度では、医療費の自己負担は1〜3割。また、一定額を超えると「高額療養費制度」が、超えた分を負担してくれます。介護費用に関しても、医療費と同様、費用の一部を負担すればいい制度になっています。

 しかし、これで安心していいかと問われれば、私はそうは思いません。

健康保険はすごいスピードで改悪中

 今後、高齢化社会が進めば、今の健康・介護保険制度も変わってくるでしょう。

 実際、かつては、70歳以上の高齢者の医療費は無料でした。それが、月400円等の負担となり、次は「1割」負担。そして、今は年齢や所得によっては「2割」「3割」とすごい勢いで負担が増え、国の医療保険制度はどんどん改悪されているのです。

 「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」では、将来の予測が難しい現在、今使える制度を徹底的に活用して医療費を抑える方法と、万が一に備えて個人的に準備しておいたほうがいいことについても説明しています。