2017年初頭、何人かの炭鉱事業者が、この石炭の町グランディーで唯一の中華料理店で、事業拡大計画を自慢げに披露していた。ドナルド・トランプ氏が大統領になったので、環境保護主義者らにじゃまされることなく、新たな炭鉱開発に投資できると彼らは語っていた。しかし実際には、そうはならなかった。過去3年間に石炭価格は急落した。米中間の貿易戦争が展開する中で、中国は米国産の石炭に高率の関税を課した。当地の石炭事業者で新たな炭鉱開発に乗り出した者はいなかった。事業者のうち2人は石炭採掘をやめ、カンナビジオール(CBD)製品を生産するため大麻の栽培を始めた。米大統領選挙をわずか1週間後に控えた現在、こうした石炭から大麻への事業転換を図った人々は依然として、石炭産業支援に最善を尽くしたと彼らが信じている男に投票するつもりだ。2019年に自身の鉱山を閉鎖したタイ・ブリナガー氏は「民主党に投票するようなことになったら脳卒中を起こすだろう」と述べた。しかし彼は、トランプ大統領について一つだけ大きな懸念を持っている。「彼があんな態度を取らなければ、もっといいのに」とブリナガー氏は語る。