老後のお金クライシス! 深田晶恵写真はイメージです Photo:PIXTA

近頃は定年延長を進める企業も多く、60歳を過ぎて働くことが当たり前になってきた。しかし、「60歳を過ぎても生活が変わらない」わけではない。多くの場合、60歳を過ぎると収入は激減する。どれぐらい減るのか。また、収入ダウンに備えて講じておくべき対策とは。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

60歳で直面する「収入ダウンの崖」
衝撃は想像以上かもしれない…!?

 ひと昔前は、大多数の企業が「60歳定年制」を取っていたが、「高年齢者雇用安定法」により、定年年齢の引き上げが進んでいる。

 厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告」(2025年)によると、60歳定年制を取る企業が62.2%なのに対し、65歳以上定年制(定年制の廃止企業を含む)は34.9%で、前年調査より2.3ポイント増加している。

 法律の後押しもあって、定年年齢は確実に引き上げられていることがわかる。

 ただし、雇用と賃金は別の話。定年年齢が60歳でも、65歳だとしても、60歳をきっかけに給与が大幅にダウンするのが現状だ。私はこれを「収入ダウンの崖」と名付けた。

 60歳で直面する「収入ダウンの崖」は、どのくらい深いのか、それとも恐れるほど深くないのか、会社員にとっては気になるところだ。

 実は、60歳以降の給与水準は企業によって異なるため、一概に「○割ダウン」とは言えない。生活設計上、60歳からの給与を50代後半で知っておきたいところだが、直前になるまで開示されない企業が多い。従業員個人によっても給与コースが異なるからだろう。

 ただ、ひとつ言えるのは、50代の年収が高いほど、崖が深くなる傾向があること。しかも、59歳時の高い年収にかかる住民税が、ダウンした給与から天引きされるため、60歳を迎えた直後の毎月の振込額は驚くほど少ない。

 怖いものみたさからいくつかのケースを試算したので、見てみよう。