米国でアパートメントや一軒家の巨大な賃貸市場を取り巻く危機が浮上している。何百万人もの賃借人が立ち退きを迫られる状況に直面している一方、家主は多額の資金不足に陥る恐れがある。
新型コロナウイルスの感染拡大で多くのビジネス活動が一時停止した3月以降、多くの賃借人が家賃の一部もしくは全額を支払えずにいる。ビジネスの多くはなお閉鎖中か部分的な営業再開にとどまる中、賃借人は失業に追い込まれ、貯蓄を取り崩している。
連邦政府や地方自治体の立ち退き猶予措置により、今のところ、コロナ禍で支払いができない多くの人は住居を失わずに済んでいる。だがそうした措置も1月かそれ以前に失効する。そうなれば賃借人は何カ月もの滞納分を背負うことになりかねず、仕事のある人ですら支払いに窮する可能性がある。
未払い家賃の推計総額には大きな差がある。だがどの尺度でみても、家賃滞納の影響は多くの米国民を脅かし、経済全般に余波が広がることは間違いない。