カリフォルニア州サンフランシスコPhoto:Justin Sullivan/gettyimages

 新型コロナウイルスの流行を受け、米サンフランシスコ・ベイエリアから引っ越してリモート勤務するハイテク企業の社員は新たな現実に直面している。給与カットだ。

 新型コロナにより、社員の働き方に関する従来の考え方がこの数カ月揺らいでいる。シリコンバレーは生活費が比較的高く、社員は最先端のリモート勤務ツールを利用できる環境にある。当地の企業は社員の分散化を含めた今後の計画を立てている。一部企業では転居先によっては給与が15%以上カットされる案も検討されている。

 こうした給与カットの動きは、世界有数の高収益企業の一部と、高い給与を享受している高度な技能を持つ社員らとの間に摩擦を生んでいる。

 企業側は現地の生活費に基づいて給与額が変わるのは、連邦政府を含む多くの組織で常識だと指摘する。だがシリコンバレーの企業は社員を喜ばせるため、企業の常識を越える福利厚生を長年提供してきた。食べ物やマッサージ、ヨガスタジオを無料でソフトウエア開発者に提供する時代に、勤務地の水準に基づく給与カットという冷静な合理的判断は厚遇に慣れきった社員を遠ざけかねない。

 フェイスブックは5月、向こう10年でリモート勤務の社員を大幅に増やす計画だと発表。居住地は給与に影響するとした。同社の広報担当者は市場別の給与データを開示しなかった。社員の恒久的なリモート勤務が可能と最初に発表した企業の一つであるツイッターは、給与のローカライゼーションに向けて野心的に取り組んでいるとしている。