連載最終回は、銀座の超人気店『流石』を紹介。手打ち蕎麦屋にはめずらしい23時までの営業は接待、会食にうってつけ。極細の喉越しいい蕎麦に食評論家が絶賛するひやかけそばにそばサラダは絶品。女主人のセレクトでワインも楽しめる。

手打ち蕎麦屋にはめずらしい深夜営業
落ち着いた雰囲気は接待、会食にうってつけ

 歌舞伎座の裏側の路地を宝町方面に向かうと、美味い店がいくつも並んでいる。まずはシチュー、とんかつ、中華そばなどの老舗食事処があり、もう少し歩くと、これまた老舗の居酒屋が二つ、三つ。そして、2カ月は予約が取れないミシュランで星を獲得したイタリアン、同じくミシュラン掲載の創作和食の新鋭店などがある。

 このあたりは一時期、別名”東銀座グルメ街”と言われ、その一翼を担ってきたのが『蕎麦 流石』だ。2004年に昭和通りの地下に開店し、今年すでに9年目に入っている。

 開店してすぐに『流石』は満席の客で賑わった。当時、手打ち蕎麦屋には珍しい深夜までの営業時間、極細の喉越しのいい蕎麦、食評論家が絶賛したひやかけそば、築地から仕入れる新鮮魚介の美味い料理、そしてワインまで揃えて、当時のニューウエーブ蕎麦屋界に特異なフラッグシップを打ち立てた。

 昨年末、『流石』は昭和通り沿いの開業の地からやや奥まった場所に店を移した。新店はビルの2階にあってテーブル席とカウンター席、それに個室が二部屋用意してある。

(写真左)東銀座の奥まった路地にある『流石』。階段で2階までとんとんと上がっていくと、小さな入り口がある。(写真右)ゆったりとしたテーブル席が間合いを取って並んでいる店内。間接照明を浴びた置き物がある飾り棚、ピンスポット照明など、計算されつくした大人の憩える空間が広がっている。

 テーブル席は間合いがゆったりと確保され、天井からはスポットライトのピン照明、飾り棚からの間接照明で複雑な陰影を演出してある。カウンター席も隔離されたような空間になっていて、1人蕎麦屋酒や気軽な訪問にも対応できる設えになっている。”大人たちが憩える蕎麦屋”、これが『流石』が一貫して追求してきたコンセプトだ。

(写真左)1人酒や気軽な会食には、他の席から離れた場所にカウンター席が用意されている。女店主との何気ない世間話も楽しいものになる。(写真右)接待や会食には、ゆったりできる個室がおすすめ。お任せのコース料理で器を愛で、店主のセレクトのワインをテイスティングする楽しみがある。