さらに、大阪市全体で取り組んできたホームレス支援も気がかりだということだ。現在の大阪市では、西成区に多数ある救護施設の一部が、「ホームレス一時生活支援事業」に活用されている。住まいを失った人々は、最寄りの区役所で相談すれば、その日のうちに食事や寝泊まりの場を確保することができる。

「特別区になっても、継続できるのでしょうか。特別区が個別に取り組むことは非効率ですし、今のレベルを維持できるとも思えません」(谷口さん)

 また、大阪市が独自に行ってきた中学生の塾代助成や市営交通の敬老パスなどの福祉サービスも、存続が危うくなりそうだということだ。

「大阪市が特別区になれば、財源も権限も低下します。それなのに、住民サービスが維持できる見込みはありません」(谷口さん)

 それは、当然といえば当然だ。

大阪市の財源を大阪府が奪う
むしろ負担が増える新特別区

 全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)会長の大口耕吉郎氏は、大阪都構想の財政面に懸念を示す。大阪都構想を一言でいえば、「大阪市の財源を大阪府が奪う」ということだそうだ。2016年の大阪市決算に基づく試算では、大阪市の税収などのうち5500億円が、大阪都構想のもと、大阪府のものになるという。

「設置される4つの特別区は、独自の税収だけでは行政運営ができません。したがって、大阪府から財政調整交付金を受け取ります。しかし、この交付金を出すか出さないかは、自由裁量なのです」(大口さん)