データ/インサイト

 データ・イズ・ニューオイルと言われるように、自社でユニークデータを蓄積して顧客インサイトを得ることは、競合優位性構築に大いに役立つ。テスラは2020年7月に自動車関連企業で時価総額1位になった。出荷台数はGMよりはるかに少ないが、なぜ市場から高評価されているかというと、自社が蓄積しているデータがその要因だ。2018年11月にテスラはオートパイロットのデータを10億マイル蓄積したと発表した。

 ただ、留意点としては、データはただ単なる「生データ」の状態だと、その価値のポテンシャルを引き出すことができない。データを「ビジネスのコンテクスト」や「目標」に基づいて、加工をして、ストーリー/モデルを構築していく必要があるのだ(図表2-27)。

 具体的な事例については後ほどの「マーケティング」「カスタマーサクセス」の章で解説するが、顧客獲得や顧客成功のデータモデルを作ることによって、拡大再生産が可能になっていく。

 また、カスタマーサイドだけでなく、自社メンバーのエンゲージメント/モチベーションデータを計測し、メンバーのパフォーマンスに活用することができる。

 このように、データを経営のあらゆる側面で活用することは、スタートアップにとって強力な競合優位性を築くことになるのだ。