このように、「いま自分はどの視点で話を聴いているか」を自覚すると、相手とちがう土俵から、答えを探ることができます。

 特に、相手がすごく焦っていたり、怒っていたりする場合は、同じ土俵に立つのはとても危険です。

 売れない白いコップを大量に抱えて焦る取引先の担当者に影響されて、自分も同じように焦ってしまえば、仮説はどんどん限定されてしまいます。親身に話を聴きながらも、決して同調してはいけないのです。

 こんなとき、「どうしてこの人はそんなに焦っているのだろう?」という視点を持てると、白いコップを販売するための意外な打開策を見つけられるかもしれません。

 話を聴くときに、相手と同じ土俵には立たず、別の視点で思考を走らせたほうが、相手の抱える問題を解決できる可能性が高まるのです。

正面から意見するのではなく
相手に自発的に気づいてもらう

「白いコップ」を例に、今度は別の角度から聞き方を考えてみましょう。

 取引先の担当者は、熱心に白いコップの魅力を説いています。なぜ白にしたのか、どうやってこの白さを表現したのか、そこに企業としてどんな思いが込められているのか――。

 しかし、話を聴いているあなたの頭のなかでは、現在コップのマーケットにおいて白の競争力はなく、もっとさまざまな色の商品を出しながらデータを蓄積し、別の売れ筋にフォーカスしたほうがよさそうではないか、という仮説が浮かんでいます。根拠となるデータもそろっていて、確率は高そうです。

 ならば、いつまでも白いコップにこだわっていても時間のムダ。そこで、取引先の担当者に、正面からこうぶつけてみました。

「残念ですが、御社の白いコップにニーズはないと思われます。その根拠として、こんなデータが……」

 担当者の表情は、怒りでみるみる赤くなっていきました。自分たちの仕事を、頭からすべて否定されてしまったのですから、当然です。

 マッキンゼーでは、こうした場合、「相手に、自発的に気づいてもらう」ことを大切にしています。否定的な考えでいたとしても、いきなり正面から意見はしません。