新型コロナウイルス流行は日産と仏自動車大手ルノーが取り組む再建に予想外の追い風をもたらした。日産は12日、四半期決算の発表と併せて2021年3月期通期の利益予想を小幅に引き上げた。先週のトヨタとホンダによる発表がこれより劇的な改善だったのに比べると、実際のところ日産の発表は幾らか失望を誘うものだった。トヨタとホンダはいずれも通期の営業利益予想を3カ月前から倍余りに上方修正した。日産は依然として赤字を予想している。日産はカルロス・ゴーン元会長の退任で広がった危機から数年かけて回復する初期段階にある。ゴーン元会長は規模を重視し、販売目標を設定することでそれを達成した。結果的に、米国のレンタカー市場に車両を押し込み、利益を損なう結果となった。とりわけブランド価値は低下した。日産と(ゴーン氏が最高経営責任者だった)ルノーは新たに、「ボリュームよりバリュー」を掲げ、自動車価格と利益率の改善を目指している。