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イーロン・マスクをはじめ、多くの民間企業が宇宙ビジネスに参入し、いまや地球のまわりは衛星だらけ。加えて中国・ロシアによる衛星破壊実験の結果、デブリ(衛星の残骸など)が急増している。こうした無秩序のフロンティア状態にあって、日本はどうやって存在感を世界に示していけばいいのだろうか。経済と安全保障が交錯する「地経学」の最前線にあって、専門家の鈴木一人氏に解説してもらった。※本稿は、政治学者の鈴木一人『地経学とは何か 経済が武器化する時代の戦略思考』(新潮選書)の一部を抜粋・編集したものです。
民間の宇宙利用がすすむなかで
中国・ロシアは軍事攻撃をちらつかせる
地球の周りには非常に多くの衛星が飛んでいる状況です。しかもスターリンクのように、1つのサービスを提供するのに数千機であるとか、最大4万機以上を打ち上げる計画を持つプロジェクトもあり、今後も宇宙空間の衛星は増え続けていくことは間違いないと思います。
ここで問題になってくるのが、宇宙の混雑です。いかに宇宙は広いといえども、限られた軌道に多数の衛星が参入してくることになると、どうしても衝突するリスクは高まっていきます。宇宙空間には交通ルールはなく、誰も彼もが好きなところに飛ばしているので、なおのこと衝突しやすいのです。
さらに問題になっているのが、宇宙デブリの増大です。使われていない衛星や、衛星が爆発して粉々になった破片、ロケットの上段などのゴミが非常に増えてきています。宇宙デブリ増加の原因の1つに、2007年の中国による対衛星攻撃であるASAT(Anti-SATellite)の実験、つまり衛星破壊実験が挙げられます。







