製薬会社のファイザーPhoto:David Benito/gettyimages

――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

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 これまで愛されてこなかった割安な企業の株式を買い戻す好機がようやく到来しているのか? バリュー株は9日、1日としては1930年代以来となる大差で、割高なグロース株を打ち負かした。新型コロナウイルス予防ワクチンの開発で進展があったと伝わったことで、航空やクルーズ船といったロックダウン(都市封鎖)でたたきのめされた「負け組」の先行きが明るくなったためだ。

 投資家にとってここで問題となるのは、目を見張るような9日の相場動向が果たして、15年におよぶバリュー株の暗黒時代の終焉(しゅうえん)を意味するのか、または今回も単なる幻想の夜明けに終わるかだろう。

 短期的には、経済が改善するだけでバリュー株は好調となるかもしれない(後期治験段階にあるワクチンの有力候補が承認・配布されると仮定する)。バリュー株とはバリュエーションの低い銘柄で、元々は株価純資産倍率(PBR)のみを基準にしていたが、今では株価収益率(PER)、株価キャッシュフロー倍率(PCFR)、配当利回りなどさまざまな指標を総合して定義される。現時点におけるバリュー株は、ロックダウン(封鎖措置)による負け組、低金利が足かせの銀行、建機大手キャタピラーや石油生産会社といった景気敏感株に圧倒的に集中している。