「決算だけ」にすると税理士のチェックがなくなって、経理のミスや不正が起こらないか心配……。経営者のみなさんのそんな声が聞こえてきそうです。
そこで今回は社長がここだけ押さえれば大丈夫!というポイントをお教えします。そのポイントは、特に帳簿や経理の知識がなくてもひとおおりチェックするだけですぐに気づくものばかり。
しかも、「決算だけ」を選択して経理をシンプルにすれば、手間もかからず、経理担当はアルバイト社員でもOK。経理コストの大幅削減も可能です!
ここだけ押さえれば「決算だけ」でも
経理のミス、不正は防ぐことができる
税理士との関係を「顧問契約」から「決算だけ」に切り替えると、当然のことながら、これまでのように毎月社内の経理に誤りがないかをチェックしてもらうことはできなくなります。
そこでもっとも危惧されるのは、第三者の目がなくなることによる経理社員の不正です。たいていは金額が小さいため、ニュース沙汰になることはありませんが、決して「珍しい」話ではありません。
手口はいろいろで、私的な領収書を紛れ込ませて経費を不正に請求するものから、信頼して任せきっていたところ勝手に会社名義の口座を新設し、そこに顧客からの支払いを振り込ませて横領する、といったものまであります。
ただいずれの手口も、領収書や請求書、入出金の状況をひととおりチェックするだけで、気づくものばかりです。特に経理や帳簿の知識が必要になるわけではありません。「決算だけ」にするならば、最低限その役割を社長が担うことが求められるでしょう。
もう少し進んで、資金繰り等の事故も避けたいなら、以下の3点についても月単位でチェックするといいでしょう。
(1)現金、預金、売掛金、買掛金の残高
→たとえば、売掛が月末締めの翌月末回収のサイクルの場合、月末に当月発生した売掛金額以上の残高になっているならば、入金が遅れている売掛金が発生しています。
(2)外注費の支払時期
→「元請けから入金があった後に、外注への支払い」というサイクルが守られているかをチェックします。このサイクルが崩れていると、入金が遅れた場合、資金繰りに支障をきたすことになりかねません。
(3)利益率
→主だった商品やサービスについては、利益率の目安を把握しておき、著しく下がっているようなことはないかチェックします。理由もなく下がっている場合、社員がキックバック目的で仕入額等を水増ししていることも考えられます。