「決算だけ」を依頼できる税理士は本当にいるの?
これまで顧問契約が当たり前だった税理士との関係を考えれば、そう思うのも当然です。でも、心配はいりません。実は、若手、中堅の税理士を中心に「決算だけ」は確実に広がってきているのです。
では、どうやって「決算だけ」の税理士を見つけて、その実力を見極めればいいのでしょうか。連載第3回は、「決算だけ」税理士の失敗しない選び方・頼み方を解説します。

 

「今の税理士に満足はしていないけれど、
税理士を替えるのも…」と思っていませんか?

 顧問先の税理士に不満をもつ社長さんは珍しくありませんが、実際に税理士を替えるとなると、二の足を踏むケースが多いようです。

 通常、税理士同士で引き継ぎは行いません。新たな税理士に依頼するには、現在の税理士から少なくとも過去2期分の税務申告書や総勘定元帳などを受け取り、新たな税理士にこれまでの経緯等を一から説明しなければなりません。

 こうした手間をかけても、新たな税理士が現在の税理士より満足のいくサービスを提供してくれるかは未知数です。医者と違って、自分に合わなかったら、別の病院を訪ねてみるというようには、気軽にいかないのです。

 会計事務所の規模の大小も参考程度にしかなりません。大手だから安心に思っても、実際に担当につくのは経験の浅い新人ということもあるからです。さらに、税理士の能力は一般の方が思う以上に属人的なため、同じ会計事務所に所属する税理士間でも、処理の方法などに個性が出るものなのです。

 また、会計事務所は大きく「税理士事務所(および2名以上の税理士からなる税理士法人)」と「公認会計士事務所」に分かれますが、小さな会社の依頼先としては、税理士事務所のほうが無難でしょう。

 というのは、公認会計士の本来の業務は大企業相手の「監査」だからです。監査はそもそも「株主目線」で行うもので、配当が増えるように会社の利益に漏れがないかをチェックする立場にあります。公認会計士になると、申請すれば税理士の資格も取得できるしくみになっています。

 一方、税理士のメイン業務は税金の計算と申告です。こちらは「会社目線」に立って会社の利益を減らし、税額を少なくするのが基本スタンスです。監査とは真逆の立場にあるといえるのです。

 もちろん税務に限れば、することは同じですが、税理士のほうが特化している分、一日の長があります。特に小さな会社への対応が慣れているという点で、税理士事務所のほうが安心できるでしょう。ただし、開業してから何年もたっている事務所であれば、公認会計士も税理士もそう変わらないでしょう。