「決算だけ」にすれば大幅なコストダウンが可能、とはいえ、心配なのは税務署の反応ではないですか? でも、「決算だけ」だからといって税務署が厳しくなることは一切ありませんし、もし税務調査が入ったとしても心配いりません。連載2回目は「決算だけ」でOKな理由を説明します。
税務申告だけなら「決算だけ」でOK
「決算だけ」にもっとも適した会社とは?
第1回で、小さな会社にとって、税理士への顧問契約料は軽い負担ではないというお話をしました。
仮に年間60万円の顧問契約料を半額の30万円に抑えることができれば、40歳の社長なら60歳までに600万円ものお金を手元に残すことができる計算になります(もちろん、別途税金等はかかってきます)。
その実現のための方法が、顧問契約は結ばず、年に1回「決算だけ」を依頼するスタイルに切り替えるものです。現在の顧問契約先が応じてくれない場合は、ネットなどを利用して「決算だけ」に積極的に対応している税理士を探してみるといいでしょう。
「決算だけ」の料金相場は、年間の売上高のほかに、会計ソフトに入力済みか否か、また訪問や消費税の有無などによって異なりますが、年間売上1億円未満の会社であれば、およそ10~30万円が相場です。顧問契約から切り替えるだけで、大幅なコスト削減が簡単に実現できるのです。
ただし、「決算だけ」の場合、決算書の作成から税務申告までを短時間で済ませなければならないため、税理士のキャパシティの問題から、規模の大きな会社は引き受けてもらえないケースも出てきます。従業員数5人以下、売上規模5000万円以下、年間で繰り越す通帳が2冊以下の会社がもっとも向いているといえるでしょう。
実際に依頼する場合は、
(1)帳簿付けまで会計ソフトで済ませてあり、決算&税務申告だけを依頼する
(2)経費精算までエクセル等で済ませてあり、帳簿付け(会計ソフトへの入力)から決算&税務申告までを依頼する
(3)経費精算の集計から、帳簿付け、決算&税務申告までをすべて依頼する
この3パターンを基本に、年末調整や源泉徴収票の作成なども併せて依頼することもできます。
「決算だけ」は顧問契約と比べて、時間の制約上、領収書や帳簿を細かく見ていくことはできません。そのため、ポイントを絞ったチェックとなりますが、そのせいで税務署から指摘を受けるような問題が発生することはまれです。
コストパフォーマンスの面で、「決算だけ」の魅力は大きいのです。