元ネスレ高岡氏が語る「日本企業でCMOが本当にやるべき仕事」
真の「マーケティング経営」とは? Photo:PIXTA

今年3月にネスレ日本の代表取締役社長を退任した高岡浩三氏は、マーケティング経営を掲げ、ネスレ日本でさまざまなヒット商品・サービスを世に送り出し、組織改革にも取り組んできた。そんな高岡氏は、経営者にこそマーケティングの理解が必要だと指摘する。真のマーケティング経営とは一体何か。(構成/ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

なぜ経営者にとって
マーケティングが重要なのか

「経営(management)」という言葉は、「人を管理する(manage)」という意味を持って生まれました。しかし時代の変化に伴い、その言葉の意味するところは、「人を使って実績を上げていく」ことだけでなく、「いかにして付加価値を作るのか」というところにまで及んでおり、その重要性はますます高まっています。

 この「いかにして付加価値を作るのか」を考えるときに必要になるものこそ、顧客の課題を発見して解決する「マーケティング」の視点です。そうなると、経営にかかわる全てのプロセスはマーケティング活動といえるのではないか。そんな理由から、私はかねがね「経営=マーケティング」であり、経営者とってマーケティングへの理解は不可欠であるとお話ししてきました。

 企業が生き残っていくためには、マーケティング視点で考えられた経営戦略や戦術が欠かせない。経営者が「マーケティング的な思考」とはどんなものなのか、最低限の理解をしていなければ正しい経営判断ができないのです。

 しかし、日本企業の経営者において、その重要性はまだ十分に理解されているとはいえません。反対に、日本企業でマーケティング経営が本当に実践されていたなら、「失われた30年」といわれるような停滞は生まれていなかったのではないでしょうか。