史上最大級の成長率を記録した7~9月期のGDP。この先にある明暗を考えよう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

史上最大級の回復を達成も
水準はコロナ前を大幅に下回る

 2020年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+21.4%(前期比+5.0%)を記録した。史上最悪のマイナス成長となった4~6月期(前期比年率-28.8%、前期比-8.2%)からの立ち上がりで、史上最大級の成長率を記録した格好だ。なお、プラス成長に転換するのは、消費税増税前の2019年7~9月期以来4四半期ぶりである。

 需要項目別に確認すると、回復に大きく寄与したのは民間最終消費支出と財貨の輸出である。民間最終消費支出は前期比+4.7%と、高い増加率を示した。形態別に消費動向を確認すると、耐久財が前期比+4.0%(寄与度+0.2%)、半耐久財が前期比+1.5%(寄与度+0.0%)、非耐久財が前期比+2.1%(寄与度+0.3%)、サービスが前期比+6.6%(寄与度+2.0%)となっている。

 軒並み改善が見られているが、とりわけ4~6月期に大きな打撃を受けていたサービスの回復が目を引く。緊急事態宣言の解除後の各種経済活動の自粛解除、そしてGoToをはじめとする政策が奏功している。

 財貨・サービスの輸出は前期比+7.0%を記録した。中国向け素材・資本財の好調さが続いたことに加え、米国向けを中心とした自動車輸出の回復が牽引役を担った。世界的なサプライチェーンの回復と在庫復元の動きも財輸出回復の根底の要因として存在している。ただしサービス輸出はいまだ回復に至っていない。

 また、1~3月期に前期比-5.3%、4~6月期に同-17.4%の減少を記録した後の数値としては物足りない。このことは、前述の民間最終消費にも当てはまる。増税後にコロナ禍がダメ押しとなり、3四半期連続で大幅なマイナス成長が続いた後にようやく底入れが確認された、と表現した方が的確かもしれない。

 事実、冒頭で史上最大級のプラス成長と表現したが、現時点での日本経済の「水準」は低く、実質GDPがピークを付けた前年同期と比べていまだ-5.8%にとどまっている。このことは由々しき事態だ。設備や雇用といった経済資源がどの程度有効活用されているかを示す「需給ギャップ」は、大幅なマイナスに落ち込んだままである。マイナスの需給ギャップが放置されれば、設備投資や雇用の「調整」、すなわちリストラに着手する企業が増え、不況と社会不安が増幅されることになる。

回復の持続性を
運命づける二つの鍵

 以上を踏まえつつ、今後を展望しよう。先行きの日本経済は、緩やかながら回復を継続すると見込まれるが、その道のりは決して平坦なものではなさそうだ。まず、残念なことに日本でも感染拡大の「第三波」が確認されている。10月までの日本経済は、再度のロックダウンに向かう欧米と比べて安定した回復軌道に乗っていたが、今後はその持続性に一旦、疑問符が投げかけられることになる。
より長期的な視点に立てば、2つの要素が日本経済の命運を左右するだろう。