日本を支えてきた団塊の世代も、今や70代。
まだ先は長いとはいえ、「死」が頭をよぎるのも、また現実。
さて、いかにして人生をまっとうするか。
どんな肩書きも外して、「死ぬまで上機嫌。」がいちばんいい。
人生は考え方次第。
苦労の多い人生だったとしても、
「まあ、これでいいか」
と思えれば、万事解決。
終わりよければすべてよし、なのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を経験するなど、
「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにしている。
ただ、いつ死ぬかわからないからといって、怯えてばかりいても仕方がない。
どんな状況を目の当たりにしても
「まあ、これでいい」「こういうこともあるだろう」
と鷹揚に受け入れられる自分でいたい。
そして、『死ぬまで上機嫌。』でいたい。
漫画家・弘兼憲史が「そのとき」が来るまで、
存分に人生をまっとうする上機嫌な生き方を指南する。

漫画家・弘兼憲史が教える「静かで穏やかに最期を迎えるときに思うこと」とは?Photo: Adobe Stock

死ぬ間際に後悔するのだけは、まっぴらごめん。

ピンピンコロリであの世に行くのが理想ですが、実際のところは、そううまくはいきません。

自分の家族や親類、友人や知人で、ピンピンコロリで亡くなったという話を聞いたことがあるでしょうか?

ほとんど聞いたことがないのが実情ではないでしょうか。

ピンピンコロリは、そのくらい珍しい死に方なのです。

「死ぬ寸前までピンピンしている」というと、たいていは自殺や交通事故などによる突然死を意味します。

これは理想のピンピンコロリとは、まったく別物です。

僕自身、ピンピンコロリを目指したいとは思っていますが、一方で「現実はそううまくいかないものだ」と冷静に割り切って(どこかあきらめて)いる自分もいます。

実際には、足腰が衰えて自由に外出できなくなり、排泄が困難になり、食べることに不自由し、やがて枯れるように死んでいくことになるのかもしれません。

身体的な機能が下降するように衰えていくのは避けられないとして、できるだけ静かで穏やかに人生を終えられればいいと思っています。

なんとなくですが、僕は運良く長生きできたとしても、90歳くらいが御の字だと思っています。

となると、残された時間は、あと20年弱という計算になります。

平均寿命の81歳で死ぬとすれば、あと10年弱。

あるいは、もっと早く死ぬ可能性だって十分に考えられます。

コロナ禍であっけなく命を落としてしまった方々もいますから、明日死んでも不思議ではないのです。

仮に平均寿命の81歳で死ぬとすると、その3年前くらいから自由に動き回るのは難しそうだから、現実に動き回ることができるのは、あと6年くらいかもしれません。

そこから逆算すれば、「何ができるか」「何をあきらめるか」について考えられるようになります。

事細かに計画を立てる必要はないですが、静かで穏やかに最期を迎えるプランを自分の頭の中でイメージしておくことが大切です。

いずれにしても、死というのは恐れるべきものではなく、祝福すべきゴールだと思います。

人は生まれてから、いつかは必ず死ぬという宿命を背負って生きています。

寿命の長短にかかわらず、生きている間にやるべきことをやりきり、最終的には笑顔でゴールテープを切りたい。

死ぬ間際に後悔するのだけは、まっぴらごめん。
今際の際に「まあ、こんな人生でよかったんじゃないの」と思えるのが理想です。

人生は自分の考え方しだいであり、それは死を迎えるにあたっても同じです。

苦労の多い人生だったとしても、「まあ、これでいいか」と思えれば、すべては万事解決。

終わりよければすべてよし、です。

漫画家・弘兼憲史が教える「静かで穏やかに最期を迎えるときに思うこと」とは?