『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

文章を書くとき「徒然に」より「先にテーマを決めておく」といい3つの理由Photo: Adobe Stock

【質問】
 自分は創作などをするとき、テーマなどが思い浮かびません。

 大体こういう話で……などといつもはじめから終わりまで考えても「じゃあそれのテーマはなに?」ときかれても困るくらいです。そもそもテーマは本当に必要なのでしょうか? そもそもテーマとはなんなのでしょうか?

テーマを言語化すると3つメリットがある

【読書猿の回答】
 創作においてテーマとは「要するにこの作品は何なのか?」という問いの答えです。メリットはいくつかありますが、例えばあると宣伝しやすいです。「技名を叫んでから殴る漫画」@『血界戦線』のように。

 あと映画やアニメなど複数の人が関わる場合、テーマがあった方が他人を納得させやすいので企画を通すのに必要だったり、みんなの努力がバラけず共同作業がやりやすいかもしれません。

 ただ創作が長期に渡る場合、未来の自分は別の人間に変わっていることもあり得るので、テーマとして言語化しておくと、長期に渡る努力の方向がバラバラにならず、作品の完成に役立つみたいなことはあるかもしれません。

 個人の創作の場合、テーマなんか知らんということはあります。書きたいものはあるが「そもそも一言で言えるようなものなら、小説(マンガ)なんか書くものか」という人も結構おられます。テーマをもっと狭く「作者が作品を通じて主張したいこと」だと考えると、「そんなのないわ」という場合はもっと増えるでしょう。

「崇高」なテーマがそれだけで物語を良いものにできるとは今日では信じられていませんが、世の中がもっと息苦しくなれば、そうした主張も力を得るかもしれません。