『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

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[質問
 
ある資格試験に挑もうとしても、やる気がでないのと、書いて覚えようと頑張っていますが、なかなか頭にはいりません。何か良い方法はありますか?

分かる/分からないの整理から始めましょう

[読書猿の回答]
 著者としては『独学大全』を読んでくださいというべきでしょうが、見ず知らずのあなたにそこまで期待することは難しいので、私ならどうするかを少し書いてみます。

1.教材を入手する
 入手できるなら過去問とその解答、同じく入手できるなら教科書・参考書をまずはリストアップし、目次や書評を比較して、そのうちのいくつかを実際に検分し、入手するものを選びます。

2.教材(過去問・教科書等)に対して「刻読」する
 学習のやり方は、難易度とその分野についての現在の自分の知識レベルによって左右されます。
それを確かめるために、教材をざっと読んで、分かるところと分からないところを分けます。

 その分野についてほとんど何も知らず、分からないところが大部分な場合は、分かる単語や概念について印をつけます。

 逆に、その分野についてかなり知識があり、分かるところが大部分であるなら、分からない部分ついて印をつけることになります(その方が効率的なので)。

3.「分かる部分」を足がかりに知識を広げる
 全体方針は、まず分かる部分を広げること、ある程度全体をカバできるところまで進んだら知識の精度を高めることです。

 資格試験の範囲が複数の分野から構成される場合は、もっとも分かる部分が多い分野から手を付けるとよいでしょう。

 理解度が同程度なら、一番「分量が少ない部分」から手を付けます。自分にとって分かりやすく量が少ない部分から手を付けることで、なけなしのモチベションや認知資源を有効に長く使うことができます。

3ー1.分かる部分が多い場合
 分かる部分が多い場合(分野)は、いきなり問題を解いてみて、間違えたところを集中的に学習することになります。

 間違えたところについては、3ー2.と同じことを行います。

3ー2.分からない部分が多い場合
 しかし大抵は、分からない部分が大部分を占める場合が多いでしょう。この場合も、(数少ない)分かるところを出発点とします。

 ここでのおすすめは、分かる用語や概念を含んだ過去問の問題文や、教科書の解説部分を選び、コンセプトマップをつくることです。これによって分かる概念と、分からない(これから学ぶべき)概念を結びつけることができます。理解とは、概念同士を適切な仕方で接続できることです。

コンセプトマップの例
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 最初は1問ずつ、あるいは1節ずつ、コンセプトマップが書けたものから、問題をとき直し、教科書を読み直します。すると、以前より理解すべきことが分かるようになります。

 最初のうちは、できるだけ小さな範囲で、「問題を解く・解説を読む ←→ コンセプトマップをつくる」をすぐに往復するといいでしょう。

 学び始めには、問題文/解説ごとに、小さなコンセプトマップが、ばらばらにいくつもできることになりますが、これを続けていくと、より大きなコンセプトマップに統一的にまとめることができるようになります。

4.3でやり終えた問題を解きなおす
 3をやり終えたら、もう一度、問題を解いてみましょう。教科書を学んだ場合は、同じ分野の問題を過去問を分析したのなら同じ問題を解いてみます。

 学んだばかりのことなので解けて当たり前と思うでしょうが、まだまだ知識の精度は上がってないので、細かいミスや間違いが出てくるはずです。

 解き直しをする目的は、知識の精度を実用レベルにまで高めることです。

(参考箇所)
 最後に『独学大全』の該当箇所を示します。
 大きくは
・やる気がでない→ 第1章から第3章まで
・なかなか頭に入らない→第12章から第13章まで
がお役に立つと思います。

「1.教材を入手する」は第2部が、「3ー2.分からない部分が多い場合」のコンセプトマップについては、技法49「プレマップ&ポストマップ」が、「4.3をやり終えた問題を解きなおす」については、技法54「違う解き方」が参考になると思います。