ドナルド・トランプ米大統領によるアフガニスタン駐留米軍の削減計画が実施される前でさえ、アフガン政府が統制力を失っていることを明確に示す状況がある。首都圏の外れでは、夕暮れ時には人通りがなくなる。奇襲攻撃による暗殺が横行する中で、治安部隊は警戒を強めている。反政府武装勢力タリバンのメンバーが商店の店先に貼り付けた警告文には、「イスラム首長国」が誘拐者や略奪者、強盗を捕まえるか即座に処刑すると書かれている。イスラム首長国とはタリバンの自称だ。タリバンの若い戦闘員であるアジジさんは「米軍がアフガニスタンを去れば、タリバンは対話か武力でわれわれの法律をアフガン政府に適用するだろう」と語った。彼はインタビューを受けるため、首都近郊の自宅からやってきた。アパートの3階から、近代的な喫茶店が立ち並び学生でにぎわう中間層の居住地区を見渡してこう言った。「われわれはカブールでも、地方と同様にイスラム法のシステムに沿った行動を取る」