対比思考Photo: Adobe Stock

新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

【その1】「パターン」を決める

 子どもたちはお弁当の時間、つくってくれた家族の話をすることが多いといいます。お弁当は、一緒に食卓を囲めないときの家族の絆。子どもはそれをお弁当を食べながら感じているのです。

 とはいえ、忙しい朝のお弁当づくりは負担に感じるもの。愛情はこめながらも、できるだけ負担なくつくりたいところです。そのためには、お弁当のパターンを決めておくと便利です。

・「面積のパターン」を決めよう

 管理栄養士の牧野直子氏は、「詰める割合は、表面積を主食:主菜:副菜=2:1:1にするのが基本」だといいます。弁当箱は、幼児は300~400ml、小学校低学年なら500~600ml、高学年なら600~700mlの容量のものを勧めています。

 弁当箱のサイズが1ml分大きくなると、入るお弁当のエネルギーも約1kcal増えるので、弁当箱のサイズ(ml)は必要なカロリーの量(kcal)とほぼ同じです。

 主食はパンでもよいのですが、ごはんはパンに比べて脂質が少なく塩分がないため、よりヘルシーです。できればごはんを詰めるのを基本にします。

・子どもは「目で食べる」

 小さな子どもほど「目で食べる」といい、色は子どもの食欲を刺激します。彩りは5色を目安にします。5色というとハードルが高そうですが、難しく考える必要はありません。

 卵焼きやゆでたサツマイモ(黄)、ブロッコリーや枝豆(緑)、プチトマトや梅干し(赤)で3色。あとは肉(茶)を焼いて、ごはん(白)があれば5色になります。

・「調理法と味の掛け合わせ」をうまく使う

「おかずのマンネリ化」を解消するには、「調理法と味の掛け合わせ」で工夫ができます。

「調理法と味付けをさまざまに組み合わせると、エネルギー、塩分のバランスを整えやすい」と牧野氏は次のように具体的な掛け合わせを勧めています。

■調理法と味付けを掛け合わせるって?
◎調理法
「揚げる」「炒める」「焼く」「ゆでる」「煮る」
  ×
◎味付け
「塩味(塩、しょうゆ、味噌、ソース、塩こうじ等)」
「甘味(砂糖、はちみつ、ジャム等)」
「酸味(酢、梅干し、かんきつ類等)」
「辛味(カレー粉、ゆずこしょう等)」

※同じ食材でも、今日は「揚げる×塩味」にしたら、明日は「煮る×甘味」にするなど。

【その2】「冷凍食品」を使う

 冷凍食品も便利に活用できます。お弁当づくりで最も重要なのは、手づくりにこだわることよりも、主食、主菜、副菜のバランスです。おかずがそろわないときやつくる時間がないときは、冷凍食品を取り入れてバランスを整えます。

 冷凍食品を買うときは、いつも同じものではなく、メーカーを変えたり、いろいろなおかずを選ぶようにします。

「いったん解凍されると霜がついて味が落ちるので、一度開封したら賞味期限にかかわらず早めに使い切ってしまうこと。使い切らないときはすぐに冷凍庫にしまいます。ブロッコリーや青菜は、自分でゆでて冷凍するより、冷凍食品のほうがおいしく食べられます」(牧野氏)

・「自家製冷凍食品」をつくりおきする

 牧野氏によると、晩ごはんにつくるしょうが焼きや焼き魚、ハンバーグなどは、多めにつくってお弁当用に冷凍しておくと便利だそうです(『冷凍・冷蔵がよくわかる食材保存の大事典』池田書店)。全部味付けをし、火を通してから冷凍し、使うときは電子レンジで再加熱します。

 冷凍のまま加熱してもいいですが、前の晩から冷蔵庫でゆっくり解凍しておくと、朝温めやすくなります。

【その3】「汁物」を活用する

 カレーやシチュー、おでん、麻婆豆腐、豚汁などは、朝温めなおして「保温ジャー」に入れておくと、お昼にはちょうど食べごろになっています。

 ただし、「一度開けると中の温度が下がり、菌が繁殖しやすくなるので、開けたらすぐに食べきるように子どもに伝えておきます」(牧野氏)

・汁気のあるものは容器を分ける

 牧野氏によると、お弁当が傷む原因は「高温」と「水分」です。とくに丼ものやチャーハン、炊き込みごはんや混ぜごはんなどは、具材に水分を多く含むため、傷む原因になります。

 丼として食べたいときは、汁気を含む具は別容器に入れておき、食べるときにごはんの上にのせるようにします。

 お弁当に定番の副菜であるプチトマトやブロッコリーも、キッチンペーパーで水分をふきとってから入れます。卵は半熟ではなく、しっかりと火を通します。

【その4】「冷凍デザート」で保冷する

 保冷対策が必要なのは夏だけではありません。外が寒い時期でも室内は暖かく、とくに暖房近くでは温度が高くなり、菌が繁殖しやすくなります。

 牧野氏は「デザート用にゼリーや果物を他の容器に入れて凍らせておくと、保冷剤代わりに使える」とアドバイスします。

 冷凍する果物としてはグレープフルーツなどのかんきつ類(皮は取り除く)、皮付きで食べられるぶどうや、缶詰の果物も使えます。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』から抜粋・編集したものです)

取材協力・参考文献

取材協力:有限会社スタジオ食代表/管理栄養士、牧野直子氏
取材協力:クックパッド株式会社、小竹貴子氏
牧野直子監修『冷凍・冷蔵がよくわかる 食材保存の大事典』(池田書店)