また、焦っていることは相手にも伝わり、「この人、焦ってる。余裕のない人だな」と映る可能性があるし、相手にも「この人、気まずいと思っている。自分も何か話題を振らなきゃ」というプレッシャーを与えてしまうなど、あまりいいことはありません。

 そこでまずは発想を変え、「沈黙は悪いことではない」という認識を持つことです。そもそも言葉は何かを伝えるための手段であり、間を埋めるためのものではありません。相手もまた、特に話題もないから黙っているわけです。あるいは特に話したくないだけかもしれません。何か考え事や心配事があり、話す気分ではないのかもしれないのです。

 たとえばエレベーターの中で、自分の会社の社長と二人きりになったとします。それで沈黙して気まずいと感じたとしても、相手が黙っているのなら本人が話したくない、話したいことがない、別の考え事があるということかもしれません。

 そこで、もし沈黙して焦ってしまっても、ひとまず「相手にも話す話題がないか、話す必要がないから沈黙しているんだ、だから自分も黙っていていいんだ」と言い聞かせ、いったん相手から目をそらして窓の外を見たりして、リラックスを心がけることです。

 沈黙しても、それをリラックスして過ごせるなら「沈黙は気まずい」ではなく、「静寂な空間」となるし、その余裕があれば相手の方から突然会話を振ってきても、普通に返せるでしょう。どうでもいい言葉を垂れ流してまで間を持たせる必要はない、と捉えることです。

 もうひとつは、沈黙は何も自分だけのせいではなく、相手のせいでもあると認識することです。なぜなら、相手が話題豊富で社交的なら沈黙になるはずはなく、つまり相手も雑談下手だから沈黙するわけで、それは相手の問題でもあります。

 話したいことがあるなら、向こうから話しかけてくるものです。むしろ焦ってくだらないことを言って失点リスクを負うよりはましなので、いちいち焦らないことです。