農協が集めた預金を運用する農林中央金庫が、農協への運用益の還元に上限を設けると正式に発表した。現在実施中の「還元率」の引き下げに、「量」の制限を加えて農協への還元を減らす。ダイヤモンド編集部による試算では、全国の農協で総額約1100億円の減益要因となることが分かった。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
全国の農協激震、農業軽視の
金融依存JAは赤字転落へ
全国584の地域農協でつくるJAグループに激震が走っている。農協は、集めた貯金の運用を農林中央金庫(農中)に委託し、その運用益に収益を依存してきたが、その生命線が絶たれる事態になりかねないのだ。
ダイヤモンド編集部は6月、特集『農協の病根』の中の記事、『農協は貯金を集めるな!JAの「陰の司令塔」農林中金が繰り出した最終手段』で、農中が農協への運用益の還元に上限を設ける方針であることを報じたが、今回それが正式に実施されることとなった。
農中の運用益還元の削減により、農業関連事業で稼ぐことができていない「金融依存農協」の経営は窮地に陥ることになる。
ダイヤモンド編集部は来年2~3月に農業特集を予定しています。全国584の農協ごとに金融事業の減益想定額を試算し、赤字転落のリスクを明らかにします。同特集に向けて農業者の方を対象にしたアンケートを実施中です。農業の実態や「儲かる秘訣」を教えていただければ幸いです。