東北新幹線Photo:PIXTA

東北新幹線東京~新青森間は12月4日で全線開業10周年を迎える。東京~新青森間の約670kmを最短2時間59分で走破する最高速度320km/hの「はやぶさ」は、かつて文字通り「陸の奥(みちのおく=みちのく)」であった東北を、身近な存在に変えた。改めてその歴史を振り返ってみたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

東北本線の全線電化で
上野~青森間が大幅短縮

 歴史をさかのぼると、東京と東北が鉄路で結ばれたのは1891年のことであった。開通当初、丸一日を要した上野~青森間の所要時間は、戦前の段階で12時間台に短縮。さらに1968年に東北本線が全線電化を果たすと、電車特急「はつかり」が上野~青森間を約8時間30分で結んだ。

 1976年7月の時刻表を見てみると、上野駅を7時30分に発車する「はつかり1号」は仙台駅に11時28分、盛岡駅に13時33分に到着し、終点青森駅には16時1分の到着だ。続いて、9時31分発の「はつかり2号」、10時30分発の「はつかり3号」、12時20分発の「はつかり4号」、16時発の「はつかり5号」の5本と、上野駅から常磐線経由で青森に向かう特急「みちのく」が1本設定されている。

 これだけの長旅だから、時間を有効活用できる寝台特急の方が主流だった。上野から常磐線を経由して、仙台、盛岡、青森まで結ぶ寝台特急「ゆうづる」が7本と、東北線経由の寝台特急「はくつる」が1本、加えて夜行急行列車「十和田」「八甲田」が計3本設定されている。最終列車の「ゆうづる7号」は23時5分に上野駅を出発し、翌朝9時55分に青森駅に到着する。