アントニー・ブリンケン氏オバマ前政権で国務副長官などを務めたアントニー・ブリンケン氏を国務長官に起用 Photo:AP/AFLO

日本にとって
バイデン次期政権の発足はチャンス

 米国のバイデン次期大統領は政権の移行に向けて、閣僚人事を発表し始めた。

 バイデン新大統領の外交政策は、アジア地域の政治・経済、安全保障面で重要な変化を生み出す可能性がある。その中で、バイデン政権で外交問題を扱う国務長官にアントニー・ブリンケン氏が起用されることは重要だ。同氏は、中国と北朝鮮に対して厳しい姿勢を持つことで知られる。

 ブリンケン氏起用によって、中国と韓国を取り巻く環境の厳しさは増すだろう。アジア太平洋地域での孤立を食い止めるために、中国の習近平国家主席はRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の署名に加えて、TPP11(環太平洋パートナーシップ協定)への参加にも意欲を示している。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の場合、対中国、北朝鮮政策が難航することへの懸念はかなり強く、わが国に急速に接近して秋波を送っている。その一例として、文政権は日韓の議員連盟名誉会長である姜昌一(カン・チャンイル)氏を駐日大使に内定した。

 いまだにトランプ米大統領が敗北を認めていないことは気がかりだが、わが国にとって、アジア太平洋地域の安定など国際協調を重視するバイデン次期政権の発足はチャンスだ。わが国は、米国との信頼関係を高めて安全保障を固めつつ、各国と協力してより大規模な多国間の経済連携を目指すべきだ。それは、わが国が極東地域の安定を確立しつつ、経済面で中国とのつながりを保つことにつながるだろう。