自分の仕事以外の責任を負わない女性部下
それに気づかない上司

 大手文具メーカーの人事部を束ねる管理職から、「この前、びっくりしたことがあって……」と、次のような話を聞きました。問題の人物は、入社6年目、中堅の域にさしかかっている女性部下。管理職自身は「彼女は仕事ができる」と思い込んでいたそうです。しかし、あるとき一緒に飲みに行った男性部下から、

 「女性陣が、責任を負わない彼女の態度に頭を痛めているみたいですよ。自分の仕事は一応こなしているものの、そこから1ミリでも外れた仕事にはまったく見向きもせず、要領よく同僚や後輩に押し付けてしまっているようです。そのままにしておくと自分があとで困るようなことにしか対処しようとしないと、みんなこぼしています」

 という意外な話を耳にしました。

 この手の女性部下というのは、上司にとっては非常にやっかいな存在です。ふだん会議などで不在がちな上司の目には、与えた仕事をきちんとこなしているように映り、アピール上手で上司自身との関係は悪くないだけに注意しづらいからです。

 「こんな話を聞いたんだけど……」と、私はある講演会の懇親会で話す機会のあった働く女性たちに、この話題を振ってみました。そうしたら、「ああ、いるいる、そういうタイプ!」と場がグワーっと盛り上がったのです。こうしたタイプは、どこでも悩みのタネになっているんですね。

 「男性上司は不思議と気づかないんですよね。表面的なところしか見ていないから」

 「こういう女性社員って、どういう心境なの?」

 「同じ給料なら、できるだけ仕事を増やしたくないって思っているんだと思います。ふつう、仕事って教えてもらったとおりに進まないものですよね。“こうしたほうがいいのに”“これって間違いかも”っていうところがどんどん出てきますから」

 「ああ、確かにそうだね」