遠回しに注意する上司
男性と同じように叱ってほしい女性部下

 「同期入社の男性を見ると、『うらやましい』と思っちゃうんです」

と、タメ息をつくのは、大手製薬会社に総合職として入社したばかりの若手女性。憧れの業界での仕事に燃える『天職ドリーム』さんです。

 同期の男性が「こんなんじゃダメだ。例として取り上げているデータが少なすぎる。データ収集からやり直し!」と上司からビシビシ叱られているのに対し、彼女のほうは「まだ若手だからこんなもんだな。あとはこっちでやっておくから」と、上司が資料を手直ししてしまうといいます。

 「男性と同じように、ビシッと叱ってほしいのに……。会議が終わったあとも、男の子たちには『あれはもっとこう言ったほうがいい』など、発言に対してアドバイスがあるんですけど、私には注意するにしても『まあ、経験がないから仕方ないと思うけど……』という枕詞が必ずつくんですよね。気を遣ってもらっているのはわかるんですけど、けっこう傷つきます。やっぱり男性と一緒には見てもらえないんだなって」

 最近では、ちょっとしたことで辞めてしまう若手男性が増えたとはいえ、割合からいえば、やはり男性部下のほうが「厳しくしても、ちょっとやそっとでは辞めたり泣いたりすることはないだろう」という安心感があり、叱りやすいのかもしれません。

 一方の女性部下に対しては、

「泣かれたら困る」
「辞められたらどうしよう」
「女性は感情的だから、冷静に聞いてくれそうもない」
「逆恨みされてあとあと面倒なことになりそう」
「どうせ長く勤める気がないのだから、わざわざ叱って嫌われることはない」
 
という心理が働いて、同じ叱るにしても、例で取り上げた彼女の上司のように枕詞をつけるなどして気を遣ってしまうのです。

 女性の中にも、男性並みに叱られてもメゲない人もいますが、なにぶん異性だけにどの程度の叱責に耐えられるのかわからず、最初のうちは遅刻などを目にしても、男性部下なら一喝すれば済むところを、女性部下が相手だと「今度から気をつけて」と腫れ物に触るように扱ってしまうこともあるでしょう。