「山崎式経済時計」で考えると
バブル形成は11時を回った?

 株価の推移とその背景を考えると、新型コロナウイルス発のショックはリーマンショックや日本のバブル崩壊などの過去のショックとは異質だった。過去のショックでは、金融的な要因が行き過ぎた資産価格を生み、主にその後の金融的な潮目の変化がバブル崩壊の引き金を引いた。

 典型的には、バブルは借金が投資に回り過ぎることで発生する。信用拡大にブレーキが掛かるような状況ないし見込みが発生すると、「もう終わるのではないか?」「まだ大丈夫で、上値があるのではないか?」という「もう・まだ」のチキンゲームの段階に至る。「いつ」終わるのかを当てることは誰にとっても難しく、かつて米連邦準備制度理事会(FRB)の議長だったアラン・グリーンスパン氏は「バブルは終わってみなければ分からないものなのである」と開き直ったことがあるくらいだ。

 さて、今年の3月に大きな株価下落に至ったコロナショックは、「借金による投資の拡大」が続かなくなる通常のパターンではなく、実物経済にいきなり急ブレーキが掛かる事態が発生することによって起こった。そして、実物経済の縮小がさらに金融的な破綻につながって、さらに大きな悪影響を引き起こすのではないかという恐怖が、株価の下げを大きくした。

 一方、世界の政策当局はリーマンショックの経験を通じて金融的な縮小の怖さを知っていた。そのため、長短の金利がゼロからマイナスのゾーンになっても信用の拡大につながるような大規模な金融緩和と財政的措置を取った。そして、これが株価の急回復、さらには高値追いにつながった。

 例えば日本の場合、10月のM3(=現金通貨+預金通貨+準通貨+譲渡性預金)で見た通貨供給量の伸び率は対前年同月比7.5%も伸び、その背景としての銀行貸し出し残高も同5.9%も拡大した。これらは、コロナ以前には日本銀行の金融緩和の努力にもかかわらず前年比プラス2%程度の伸びにとどまっていたのだが、「コロナのおかげで」やっとマネーの量がそれだけ拡大するに至った。

 コロナが問題として居座ることが、金融緩和の継続と、これを拡大する財政的刺激策の期待につながることで、株高を支えている(前々回の本連載『コロナ再拡大でも株価絶好調の「嫌な理由」』でご説明した構造だ)。