新型コロナウイルスの感染拡大抑制に手間取り、支持率が低下しているボリス・ジョンソン英首相。看板政策であるブレグジットでEUから有利な条件を引き出したいところだ新型コロナウイルスの感染拡大抑制に手間取り、支持率が低下しているボリス・ジョンソン英首相。看板政策であるブレグジットでEUから有利な条件を引き出したいところだ Photo:WPA Pool/プール/gettyimages

英国とEU(欧州連合)のFTA(自由貿易協定)交渉はいまだ合意に至らないが、最後はまとまるだろうとの予想が大勢だ。ただし、FTAが発効しても企業にとって事務コストの増大、戦略変更は不可避だろう。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)

 英国とEU(欧州連合)のFTA(自由貿易協定)交渉は、チキンレースが続いている。

 英国のEU離脱の移行期間が切れる2020年末までの発効を目指して協議が続けられてきた。当初は、年内発効には10月中旬までの合意が必要とされてきたが、現時点(12月2日)でまだ合意に至っていない。

 英国がEUを離脱したのは20年の1月末である。ただ、20年末までは移行期間として、英国がEU内にいるのと同等の状況が維持される。20年6月までであれば、英国は移行期間の延長を申請できたが、ジョンソン英政権は申請をしなかった。

 FTAが合意に達しなければ、21年1月1日以降、英国とEU加盟国との貿易には関税が復活する。そうなれば互いに大きなデメリットが生じる。特に、英国の貿易量の約半分は対EUであるし、EU加盟国の多くが対英国で黒字を計上している。

 互いに有利な条件を引き出そうと移行期間の期限切れを控え、我慢比べが続いている。現時点で、合意が得られていない主なポイントは三つある。