カナダは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の中で経済を支えようと努めているが、その間に同国の財政赤字は先進諸国で最速のペースで拡大した。カナダ政府当局者は、既に就業者数が回復していることを指摘し、こうした積極的対応が成果を挙げると想定。借り入れコストが歴史的低水準にあることから、政府には経済に資金をつぎ込む余裕があると主張している。しかし一部のエコノミストは、巨額の支出が財政危機を招く恐れがあると警告。主要格付け会社の1つは既に、同国のAAA格付けを撤回している。財政支出を大幅に拡大しているのはカナダだけではない。国際通貨基金(IMF)の推計によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を抑える規制が経済に与える打撃を最小限にするために、世界各国の財政支出額は12兆ドル(約1250兆円)に達している。カナダの新型コロナ関連の支出は、連邦政府を中心として3820億カナダドル(約30兆6700億円)に上っている。これは同国の国内総生産(GDP)の約19%に相当する。