宝くじを買うという行為は、期待値を考えればマイナスだが、夢を買うと考えれば合理的ともいえる。(経済評論家 塚崎公義)
宝くじの期待値はマイナス
「年末ジャンボ宝くじ」の季節なので、宝くじについて考えてみた。宝くじが当たる確率は極めて低いので、期待値はマイナスである。それなのになぜ、宝くじは人気があるのだろう。
期待値とは、当たる確率と当たったときの金額を掛け合わせた値から購入金額を差し引いた値であるが、「何百万枚も買ったときにもうかるのか」と言い換えてもいいだろう。
販売されている宝くじを全部買えば、必ず損をする。それは、考えてみれば当然のことだ。宝くじの発行費用などを客が負担する仕組みになっているからだ。つまり、宝くじを買うという行為は、確率的には損な行為なのだ。
それなのに、宝くじは人気がある。その理由として、人々が非合理的で錯覚に基づいて行動しているという面と、合理的に夢を買っているという面の両方があるのだろう。